フランス国民議会議員、「フランス=日本友好グループ」会長ディディエ・カンタン氏から、国民議会議員リオネル・リュカ氏への手紙


国民議会
フランス=日本友好グループ
会長
パリ、2005年10月26日

親愛なる同僚、リオネルへ

先頃、東京都知事、石原慎太郎氏がフランスに対して行った、少なくとも不愉快と言わざるを得ない発言について、私の注意を喚起してくださり、ありがとうございます。

この種の攻撃が比較的頻繁に行われているという事態の性質に加えて――石原氏は、この夏、「フランス語は数の勘定もできず、国際語として失格しているのもむべなるかな」という発言をすでに放っておりますが――、日本ではかなりの知名度を有している、この東京都知事が、60年代の終わり頃に政界入りを果たして以来、非常に強固なナショナリストとしての立場を維持してきたという点も指摘しておくべきでしょう。氏は、従来、アメリカと中国に対して最も厳しい批判の矛先を向ける一方、東南アジア全体が日本の排他的影響圏内に収まるべきである、と見なしております。

逆説的なことに、石原氏は、フランス実存主義思想の継承者を自称して止みません。そこから推して考えるに、貴方が言及なさっている氏の発言は、氏が東京都知事として全方位に投げつけている、いつ果てるともない挑発の言辞の継続でもあるのでしょう。

貴方も十分お分かりのとおり、この種の発言は、われら日本の友人たちにとって大変迷惑なものであります。同時に、この発言の重みは、フランスが日本においていかに良好なイメージを保ち得ているかということ、そして、去る3月のフランス共和国大統領訪日の際に十分示されたとおり、両国間で行われている外交的親和の努力を尺度として計られるべきものでもあります。

貴方が日頃からフランスと日本の関係にお寄せくださる関心に感謝しつつ、いつでも貴方のご要請に応える用意がございます旨、お伝え申し上げます。敬具。

追記――私は、目下、このように突拍子もない、妄想的なフランス嫌いの感情の根拠が一体どこにあるのか、調査すると同時に、わが国の在東京大使、ならびに在パリ・日本大使と連絡を取りながら適切な対処の準備を進めております。

ディディエ・カンタン
シャラント=マリティム県選出議員
国民議会議員
リオネル・リュカ氏へ