2007年9月21日 原告本人尋問
傍聴席からの声


○吉川 一義(京都大学フランス語フランス文学専修)
 9月21日、東京地裁にて、原告のマリック・ベルカンヌさんと、菅野賢治さんの最終陳述を拝聴し、心打たれました。
 ベルカンヌさんは、日本の武道にあこがれて来日され、二十余年にわたり東京でフランス語を教授して、日仏文化の交流のために尽力してこられました。「フランス語は数の勘定ができない言葉だから、国際語として失格している」という石原都知事の発言について、ベルカンヌさんは、フランス語を交えつつ、おもに日本語で、どの国のことばもそれぞれに特性があること、そのことばを虚偽の情報によって侮辱することは、それを使う人を侮辱することになると証言されました。
 菅野さんは、都立大学フランス文学専攻の教員として、文学専攻を廃止した石原都知事の都立大学再編が、「フランス語の受講者はゼロ」といった虚偽の情報操作によってなされた理不尽なものであること、それにより数十年にわたり築かれてきた研究教育体制が破壊されたことを、具体的数字をもとに証言されました。
 ともに石原都知事の発言がいかに根拠のない、不当なものであることを明らかにする証言でした。それにひきかえ、都知事の代理人からはなんの反論もないのが対照的でした。
 ベルカンヌさんや菅野さんだけでなく、フランス語をつうじて日仏の文化交流のために尽力している人が、東京都知事という公人から公の場で、このような侮辱を受け、地道な努力が嘲笑され、その存在意義が危うくなるようなことが許されていいのでしょうか。このような公人としての暴言が、そのまま見過ごされ、なんら謝罪がなくても仕方がないのでしょうか。おふたりの証言を聞き、あらためてそう思いました。

他にも、当日、傍聴なさった方々から、ご感想のメッセージをお待ちしています。