【報告】 2007年2月19日 
フランス大使館公使クリストフ・プノ氏、一等書記官エティエンヌ・ローラン=ピエーグ氏との対談


                                                                                           マリック・ベルカンヌ

今回、新たに東京都知事に対して提起することとなった訴訟について、フランスの外交部にも状況説明を行うため、私は駐日フランス大使との面会を求めました。大使ジルダス・ル・リデック氏ご本人にはお会いすることができませんでしたが、代わって、公使プノ氏、一等書記官ローラン=ピエーグ氏と面会の機会を得、「抗議する会」メンバーの日本人原告一名を交えて、約1時間にわたって話し合いをいたしました。今回もまた(2005年の第一次提訴の際に大使館を訪れた時と同様)、話し合いによって明らかになったことは、フランス大使館にはこの一件に取り組む意志がないということです。われわれは、少なくとも、東京都の公式サイト(一ヵ月に何万件ものアクセスを数えているサイト)上に依然として流されている都知事の発言――虚偽にして人種差別的な発言(*)――の削除ないし訂正を求めて行動を起こすべきではないか、と何度も訴えたのですが、単に〝大使館の任務は論争を行うことではない〟という返事が帰ってくるのみでした。加えて、プノ氏によれば、東京都とその長たる石原氏は、フランスにとってかけがえのないパートナーであり、その観点からしても、大使館が石原氏の侮辱的な発言を公然と批判するようなことは差し控えなければならない、ということです(プノ氏の表現によれば、東京都知事は、「フランスに叶わない恋心を抱いた人間(un amoureux déçu de la France )であり、その彼が、時としてみずからの激情に身を委ねてしまうこともある」とのこと)。それに対して、われわれは、もしもフランスと東京都のあいだにパートナーシップが成り立っているのであれば、そのパートナーに対して、フランスのイメージを汚すような挙は止めていただきたいと――それこそパートナー同士の率直さをもって――申し入れるのが普通なのではないか、と主張しましたが、非常に残念なことに、フランスの外交部にとっては、プノ氏のおっしゃる「パートナーシップ」の方が、フランスの名誉よりもはるかに重きをなすものであるようです。以上、皆さまにご報告いたします。

(*)「タヒチの原住民の方がよっぽど合理的」、「フランスみたいにいい加減な国」といった発言。→参照「フランス、フランス語、フランス語圏に関する石原語録」